編入試体験談(後半戦)

7月初頭

もうこんな辛い思いはしたくないと決意する.

東大試験終わった次の日に,基礎工の問題を見て全く解けないことに気づく.

なので,ひたすら英語を読解する練習を始めた.drafearに貸してもらった「基礎英文問題精講」を少しずつ読み始める.一気に詰め込んで復習をしないと忘れるということが反省として得られたので,一日10セクションずつきちんと理解しながら進め,次の日その復習+10セクションみたいなのを1週間繰り返す.最初は全く読めなかった英語が,だんだん読めるようになる.そもそも東大受験したのにお恥ずかしい話,強調構文すら意識したことがなかった.

過去問をやったらめっちゃできるようになっていたので,満足し,専門の勉強にシフト.

専門の勉強,アルゴリズムアセンブリはやるだけだと思っていて,実際解いてみるとほとんど解けるので満足する.

7月中旬

専門(論理回路)を本腰入れてやる.過去問を見る限り,割と「論理回路入門(坂井 修一)」とかいううちの教科書が編入に出る範囲をカバーしていることを知る(状態遷移図がミーリー型の表現のみであるが).でも最近はどうも状態遷移図ゲーが多いので,状態遷移図についてはwebサイトで学ぶ.テキパキこなせるように一応いくつか演習を行う.

H25実施編入試の過去問が学校にあることを知る.見てみると数学が易化しているが1問目のcosh逆関数を求めるやり方が,よくある一般的なテクだがただちに思いつくのは難しい感じで,慌てる.専門の論理回路が難しすぎるように見えて絶望する.それでも考えたら解けるだろうと信じる.

7月15日以降

ラストスパート,少し気が抜ける.英語,自己満足しているとこわいので,時間を測って過去5年分やり,教員に2年分だけ添削をお願いする.この時過去2年が急に難化していることに気づき,悲しむ.

また,演習力学を急いで図書館で借りて,剛体のところをやりまくる(早くこの本やっとけばよかったと猛烈に後悔した).あと名門の森(熱力範囲を含む)をdrafearに見せてもらって,分子運動論とかぐわーーーとやったり,エッセンスの熱力範囲復習したりする.電磁気も少し復習する.久しぶりにやったらビオ・サバールの法則すら満足に使えなくなっていることに気づき,少し焦る.あと導体棒とかも復習する.やってて気づいたのは,やっぱり物理向いてないわということでした.

試験前日

英語の添削をお願いしていたが,試験前日まで音沙汰がなく,「2年分見ましたが,英語英文も適切に意訳できているし,構文も抑えれている,和文英訳も文句なしです.自信を持って.」というメールが来る.何か指摘してくれないと情報量が0なんだけども,とにかく自信を持つ.実際忙しいのにも関わらず,添削急遽やって頂いてありがとうございました.

最後の日だし,物理をやったり,学校で友達と雑談したりして過ごす.

帰りに,一人でDDRする.

ラクガキスト(ESP)をプレイしたらフルコンできた.

「おっ縁起いいなっ」と思って調子に乗って,Paranoia Revolution(Expert)をプレイして即落ちする.「落ちるとか縁起悪すぎんよ」とか一人苦笑いする.

試験当日(筆記試験)

緊張する.シャーペン忘れる.鉛筆で頑張る(そもそも鉛筆指定だったし).

英語

英文和訳:2問あって,1個は割と簡単な文章で,もうひとつはとても難しい文章.2個目で,適当な嘘っぽい日本語しかかけず絶望する(単語が分からん).

英文読解:なぜか全然分からなかった.緊張で英文が頭に入ってこず,強引に解こうとして色々と間違えまくる.1つ和訳があったのですが,それすら単語の意味をまちがえて訳しまくる.最後の問は白紙同然("huge exception"とは何か具体的に述べよという「~という重大な例外」とだけ書いた).

和文英訳:相変わらず慌てていたのか,自信マンマンに適当な英語を書く.うっかり,someone doesn'tとか書いちゃう(こういうのはいつまでたってもやらかすね).

実際の試験では,大問3→大問1→大問2→大問3→大問1→大問2みたいな感じで,見直しも兼ねてループしながら解いてた.

詰まるところが多くて,気づいたらかなり時間が足りなくなってた.結局英文読解が出来なかった.

試験終了後に,「自信持って」とはなんだったのかみたいな気持ちになる.悲しくなる.

手応えは5割~6.5割

数学

試験問題を読む.どれも解けそうだったので,ガッツポーズする.

1問目:(1)sinh(x)の逆関数fを求めさせる問題.最初慌てて解き方が出てこない.なぜかsinh(x)のままで解けなかったっけ?とか思う.結局e^xの式に対して解の公式を適用する一般的なテクを使うと解けるなあとなって,解いた.でも慌てていたので2回くらい解の公式を計算ミスした.かなり見なおしたのですぐ発覚した.(2)fを積分する問題,奇跡的に楽な部分積分思いついたので計算したら解けた.(3),(4)は簡単な極限を計算する問題で,(2)を計算ミスなく解けた人に対するご褒美問題という印象を受けた.

2問目:

(1)以下の行列を直交行列により対角化せよ.

A=

[1 a]

[a 1]

(2)以下の行列が対角化できる必要十分条件を求めよ

B=

[1 c]

[0 b]

(1)はきちんとやるだけ.

(2)は,異なる2つの固有ベクトルが得れる⇔対角化できるということに気を付けつつ,b=1,c=0のケース(つまりB=Eのとき)に気をつければ,きちんと必要十分条件が列挙できた.

計算遅すぎるせいで,これなんだかんだ40分くらい計算した(もちろん検算しながらだけど).

3問目:

割と易しいタイプの確率.でも確率なので,きちんと定義に気をつけないと事故が発生しやすい.事故らないように文章を読み直しまくった.

(1) 与えられる確率のP(1),P(2),P(n)を求める問題

(2) 普通な確率

(3) 普通な確率

(4) 普通な確率 でもちょっと植木算に気をつけないといけない

最初(1)での確率を少し勘違いして列挙漏れしていて,その矛盾に気づいて修正するまで割と時間がかかってしまった.結局(1)解くのに30分以上は使った.しかもP(n)はかなり汚い形で放置した.

試験終わった直後,いくつか間違えてるだろうけどかなりできたかなあみたいな気持ちになってた.他の人の話をいろいろ聞いてみると確率が分からんけど,自分の解答は「答えだけなら」全完っぽかった.

ただ,議論がかなり怪しいところは多かった.sinh(x)の逆関数の定義域がx>0であるかのような誤解を与える表現をしたり,「k≠0またはl≠0」を「k,l≠0」と表現していたり.

専門・物理

まず全ての配布物に,最初の受験番号・学科名を書くのに5分以上使う.大幅なロス.

専門(アルゴリズム):挿入ソートとヒープソート,そしてそのトレースを行い,比較回数をオーダー記法で示す問題.

最初,頭が硬直していて,挿入ソートだなあと思いつつ挿入ソートか確認するのにめっちゃ時間をかけ,トレースするのにもめっちゃ時間をかけた.もう片方は自明にヒープソートっぽいものだった(後で考えてみると厳密にはヒープソートではなク,もどきである).

まず小問1の(ア),(イ),(ウ)に入るコードを考えるのにめちゃくちゃ時間をかけ,(ウ)に入るものがどうしても分からず,空白でも多分動くよなあ...みたいな気持ちになって,分からんので空白にした.トレースだけ1つ書けなかった.

専門(論理回路):

(1)4*4のカルノー図から,主項・必須項・最簡積和標準形・最簡和積標準形を求める問題.主項と必須項の定義を忘れてしまい絶望し,最簡和積標準形をカルノー図から作ったことがなくて絶望したが,まあ0囲んでゴニョゴニョすればいいかと思って作ったら出来た.

(2)0→1→0という入力パターンが来たら1を出力する回路の状態遷移図(ミーリー型)と,出力の関数と,そのときのフリップフロップで実装する場合のフリップフロップへの入力関数を最簡積和形で表したものをかけという問題.ドントケア意識して真理値表を書いたのにも関わらず,1つドントケア無視して答えを書いてしまった.アチャー.

(3)ミーリー型の状態遷移図をムーア型の状態遷移図に書き直せという問題.やったことがないけど多分こうだろみたいな感じで書いた.

かなり時間におわれていて,見直しが全くできなかった.論理回路だけは凡ミスするから慎重にやりたいのに.


専門(アセンブラっぽいの):何をやっているのかよくわからないプログラム.絶望しかない.吐きそうになってた.僕はトレースは本当に苦手なので,プログラムの意味を理解しようとしたが,やはり意味不明で時間がずっと奪われる.結局時間かけたのに何してるのか全く分からず,ほぼ全滅・白紙.C言語に書きなおしたらまだ見通しよくなったかもしれないと思うと後悔がやばかった.

物理(力学):剛体円盤滑車が,線密度ρの鎖と質量mの重りをぶんぶんしている.

簡単そうだと思った.でもなぜか求められる運動方程式のM'=ρx/2(∵重心はx/2)とか書いてしまった.つらすぎる.最後の方程式も解けなかったし.

物理(電磁気学):a*aの正方形コイルが空間を速度vで右に移動してる.電流Iが無限長のy軸を-y方向に流れている.そのときいろいろ問われる.

(1) 任意のxにおける磁界を求める.アンペールの法則

(2) コイルに発生する電位差を求める.ファラデーの法則&がんばってΦを求め計算する

(3) コイルに発生する電流を計算する

(4) コイルに働く力を求める

(5) 覚えてない

(6) 覚えてない

(2)の時点で計算があってる気がしなくて,死んでた.それからいろいろぐちゃぐちゃになった.

冷静に考えて熱力選択しとけばよかったと思った.


試験終わった直後の出来の気分

数学 8~9.5割

英語 4.8~6.5割

物理 3.0~6割

専門 5~6割

数学の重みがでかかったら,ボーダーには乗ると信じたかった.

物理で死んだと思ってた.本当に物理から逃げたいと心の底から思った.

物理で3割達成してたとすると,数学で中和されても6割で,受かる要素がなさすぎた.

試験終わった夜

疲労から,仮眠3時間,そこから起きる.マジで寝れなかった.試験終わった後はご飯を食べに行ったが食欲もなくという感じ.数学のアドバンテージはあるけど・・・物理があまりにもできなかった・・・運動方程式すら立てれないのか・・・英語もかなり点数揺れる・・・専門もバカみたいなミスをいくらかした・・・みたいなのが脳内でグルグルして,結局寝れたのは6時頃で起きたのは7時だった.

面接の日

面接がある.

面接

■まず何でこの学科を志望したの?

→高1でアルゴリズムの楽しさを知り,情報オリンピックパソコン甲子園・スーパーコンに参加していく上で,大学でより専門的なものを学びたいと思い...特に基礎工情報科学科がアルゴリズミックなので...

情報オリンピック参加したの?どこまで行ったの?

→代表選考合宿に2回行きました.代表にはなれませんでした.

■倍率は?

→全体参加者数を覚えてなかったので,うろ覚えの800という数字から少し減らして,「700人中20人くらいですね.」と答えた(盛るのはよくないから).

■もし代表になれてたら色んな大学行けたんちゃうかなあ.惜しいね.

→そもそも僕は高専生なので編入でそういう特典を実施しているところがなくて...

■あー,そうかそうか

■話は変わるけど試験の出来はどう?

→英語が全く自信がなくて,英文読解がほとんどできませんでした.数学は一応確率以外は自信を持って書いたんですけど,議論が甘いところが多く,減点されているかもしれません.問題の物理と専門は全く出来なくて,まず専門ですがアルゴリズムで問1のウが空白でも動くんじゃないかと思って空白にしてしまった...みたいなことを言って笑われた.あと論理回路でドントケアを考慮せずにうっかりまちがえてしまったこととか.トレースが大の苦手で,ぜんぜんアセンブラが出来なかったです.物理はどちらも履修した範囲だったのですが,いつもではやらないような間違いをたくさんしていたので,厳しいと3割くらいです.

■今まで他に大学受けましたか?これから受ける予定は?

→東大を受けました.一次筆記試験で不合格になってしまいました.この後は,阪大工学部のみ受ける予定です.

■東大の試験は難しかった?

→物理が苦手なので,とても難しかったですが,数学は基礎工の方が難しいと思いました.(今考えるとほんまかという感じだが,たしかにそういう手応えだった)

■2年から3年でいきなり成績伸びたけど?

→2年から3年は特に意識したことがないのですが,3年から4年ですか?

■いえ,それもありますが,2年からどんどん伸びてますよね?

→2年から3年で伸びた理由については分からないんですが,3年から4年で伸びた理由は,情報オリンピックに参加することがなくなって暇になったので,プログラミング中心の生活から学業中心の生活にシフトしたからだと思います(笑われる).

■以上で面接終わりとなります.

→ありがとうございました.

面接終了

外に出るとdrafearが居た.drafearは自分から言う前から情報オリンピックについて聞かれたと述べていて,僕は参加したこと言ったときに「今知った」みたいなリアクションをされたように見えたので,もしかしたらノーマーク受験生扱いなんかな~って少しブルーに思っていた.

図書館に入ると,2人の他高専の人と,もうひとりのうちのクラスメイトが会話をしている.そこで会話して仲良くなる.雑談で時間を潰すのは限界があるので,食堂に行こうとするが混雑.混雑しているので外で立ち往生していると,神戸高専の知り合いが目に入る.すると,その2人の他高専の人のうち1人と知り合いだった.なんという偶然.

まあ,その後食堂でご飯を食べ,遠方から来た高専の人が,おみやげを買いたいという話をしているので,梅田を案内する.ポケモンセンターに行ってプリキュアショップに行く.たまげたなあ・・・.時間を潰して戻ると発表15分前.合格発表は基本的に残酷なものなので,具体的には書かないことにします.


合格発表

貼りだされる.発表直前に,嘔吐感に駆られ,熱い外を歩いて発表を見に行く.合格番号が貼りだされている.僕が受けた9xx,合格者がかなり多い.見てみると番号があってかなり唖然とする.本当に唖然とした.ヨッシャアアと叫ぶこともなく,いろいろな感情が錯誤していることもあって,無表情でアタフタしていた.びっくりした.


僕の受けた情報学科ソフトウェア科学コースは,8人受験(出願10人),5人合格だった.倍率1.6倍,例年よりかなり低く見えるようにも思えるが,恐らくそんなことはなく,計算機科学コースが3人中0人合格(不正確な情報?)ということを知ったので,恐らく合格人数の総和は毎年と同じで,高得点者がもしかしたらソフトウェア科学コースに固まっていたのかもしれないという可能性がある.この2コースに関しては,学科毎の倍率を見ても当てにならないかもしれない.(8+3)/5=2.2倍と計算したほうが良いのかな?